一生忘れることはないこと

この時期なると思い出すことがあります。

24年前の12月、結婚指輪を見にいらした
カップル様がいらっしゃいました。
彼は「指輪は好きじゃないから着けない」との
ことで彼女の指輪だけをオーダーして
帰られました。

その翌年、阪神淡路大震災が起こりました。

幸い梅田は被害も少なく程なくして
私どものお店も営業を再開したのですが、
私自身も数日ですがライフラインが止まる
生活を経験し、連日の報道を見ていたことで
「多くの人が悲しい思い大変な思いを
している時にジュエリーはいらないんじゃないか」
と言う気持ち、笑顔で接客することの違和感、
そんな葛藤があった中、前述のカップル様が
来店されました。

 

「ご無事で良かった!!!」

お客様と販売員の立場を超えて
お互いの第一声はその言葉でした。

まだご注文頂いていた指輪も出来上がって
いなかったのですが、その日カップル様が
来られたのには理由がありました。

「震災にあって、結婚指輪は指輪が好きかどうか
とは関係ない、彼女のために着けないといけない
モノだと思った」

「だから僕の結婚指輪も注文しに来ました」と。

最初、見にいらした時は自分が着けるだけの
指輪を選ぶのが少し寂しそうに見えていた
彼女もこの彼の思いに少し涙目になって
いらっしゃいました。

結婚指輪は彼と彼女の想いを繋ぐ「絆」の
指輪。

「こんな時でも、こんな時だからこそ、
意味のある指輪がある、指輪を必要として
下さる方がいる」

このお客様のおかげでそれまで私の中に
あった違和感や葛藤が消えました。

この時期になると思い出すこと。

一生忘れることはないこと。